【アメリカンな診察室】
「次のかたどうぞー」
「ハロードクター、どう、儲かってる?」
「…今日はどうしました?」
「オレがピザを欲しがってるようにみえるかい?具合が悪いんだよ」
「なるほど、悪いのはどこ?内臓?それとも」
「おいおい、オレの顔を見るのはやめてくれ。これでも小さい頃から“かわいい天使”って年上の女性に言われてたんだぜ」
「…いいママンだな。ok,レッツディール。取引といこう。You say“悪いところ”、I say“診断名”。それで取引は成立だ」
「昨日から腹が痛いんだ。妊娠かな?」
「カモーン、サム。病院ってところは案外保守的でね。妊娠するのは女性って決まってる。例外は、シュワルツェネガーだけ。サンフランシスコの連中がなんて言ったってね」
「じゃあ腹の痛みはなんだってんだ?!プレデター?」
「シュワルツェネッガーはもういい。それに、腹を食い破るのはエイリアンじゃなかった?」
「okドク、映画の話はもうたくさんだ。検査してくれ。体中くまなく、すみずみまで。『フィフスエレメント』みたいに」
「映画の話はもうたくさんって言ったのはおたくだぜ。o k,採血室に行ってくれ。ドーピングは無しだ。スタッフに、出血大サービスするように言っとく」
「勘弁してくれ。契約通り、血を数cc取るがよい。だが肉は1ポンドも取ってはならぬ」
「言葉、言葉、言葉!それだけ喋れれば大丈夫」
(数10分後)
「血液検査の結果が出た。 サム、良いニュースと悪いニュースがある」
「聞かせて」
「血液検査の結果はオールグリーン。パーフェクトだ。悪いところは何もない。明日も朝から働けるぞ」
「そりゃいいね。で、良いニュースは」
「…請求書はこれだ」
「悪いニュースばかりじゃないか」
「よく見て。ここのところ。 なんて書いてある?」
「…“次回無料”」
「やったぜ!お祝いに飲みに行こう!」
「イヤだぜ、飲み過ぎで入院なんて」
「大丈夫、いざとなったら302号室のミスター・スミスをこっそり屋上に移す。かまいやしないさ、“オープンエアの病室に移りますよ”って言う。
それにうちの病院がなんて呼ばれてるか知ってる?“天国に1番近い場所。ただし人によっては地獄のほうが近い場合もございます”だぜ?
しかも入院しても、交通費は普通の半分、家から病院までの片道だけで済んで、帰りの分はいらない。得だろ?
さ、今夜はパーティだ!」
声の出演:なだぎ武(嘘)