今日のネタ帳

悪ふざけの話中心です。笑っていただければ幸いです。

サラリーマン金太郎に出てくるあのアメリカの会社を褒めるという試み。

突然ですが、あのアメリカ人たちは偉い。猛暑の夏ならなおさらである。

 

本宮ひろ志の大人気漫画『サラリーマン金太郎』。あのなかに出てきたアメリカの会社の扱いに納得がいかないまま数十年が過ぎた。

そのアメリカの会社たちというのは、第9巻に出てくる、ナビリア国で採掘している石油会社である。

第8-9巻では主人公の矢島金太郎はアフリカ・ナビリアへ飛ばされる。マイクロウェーブ送信局設置工事のためだ。

猛暑、商習慣の違い、砂嵐で進まぬ工事などで矢島金太郎はのたうちまわるほど苦しむ。砂漠で車がエンストして立ち往生する矢島金太郎。砂漠の中、一番近くにあるアメリカの採掘現場に助けを求める。

アメリカ人たちはその採掘現場で、豊富な資金にものを言わせつつ現地の生活習慣はそっちのけで、砂漠の中にテニスコートをつくりゴルフ場をつくり、エアコンつけまくったドームの中で分厚いステーキを食べまくっている。

「こいつらどんなところへ行ってもその場所にアメリカを作っちまいやがる」。そんなふうに金太郎の現地パートナーのハシリは吐き捨てる。

金太郎も助けてもらった恩に感謝しつつも、「二度とこねえよ」とつぶやく。

 

若いころは現地の習慣を無視して文化侵略するアメリカと、現地に溶け込み協力しながら歯を食いしばってビジネスを進める日本、という構図と読んだ。

しかし時は流れ、自分が働くようになって二十年近く経った今、正しいのはアメリカの採掘会社じゃないかなあと確信するようになった。

 

オフコース、現地ナビリアにはナビリアの生活習慣がある。その生活習慣は尊重され、敬意を払われるべきだ。

しかし自分のところ、アメリカの石油採掘会社のアメリカ人社員を社命でナビリアに送りこむ以上、最大限彼らが快適に働ける環境を作っているというのは賞賛されるべきことではないだろうか。

平たく言えば途上国社員への福利厚生の充実、というやつで、石油は一発あてれば莫大な利益をもたらすわけだから、アメリカ現地での生活が継続できるようにするくらい利益に比べればどうということはない出費のはず。

ましてや同盟国、という理由で見知らぬ日本人ビジネスマンにステーキをごちそうし水もたらふく分けてやり、おまけにアイスクリームまでふるまって、悪く言われるいわれはないのではなかろうか。

 

作者、本宮ひろ志の著書『天然まんが家』(集英社)や、本宮氏のもとで働いていた江川達也の『“全身漫画”家』(光文社新書)を読むと、本宮ひろ志氏のアシスタントへの待遇はけっして悪くない。給料が二千万円を超えるアシスタントが4、5人いる、とのことで、むしろ破格の待遇だ。
自分のスタッフへの待遇には十分配慮している本宮氏が、『サラリーマン金太郎』ナビリア編で描いた、過酷な労働環境の矢島金太郎とアメリカ採掘会社の対比シーンにどのような思いを込めたのか、機会があればぜひ聞いてみたいものである。