今日のネタ帳

悪ふざけの話中心です。笑っていただければ幸いです。

『半沢直樹』は現代のシェークスピア劇である。

〈「言葉だ、言葉、言葉。」〉(『ハムレット』第二幕第二場)

 

人気ドラマ『半沢直樹』を観ていて、これはシェイクスピア劇だ、と気づいた。
内容が、ではなく表現形式が、である。

 

〈「ハムレット」劇中劇の場で、観客の一人ハムレットが「芝居を聴こう」Let us hear the play というが、この通り(シェークスピアの時代には)見物ではない、聴衆だったのである。〉(『ロミオとジュリエット新潮文庫内収載 中野好夫氏による解説)

 

〈私はロンドンでシェイクスピア劇が演じられるのをいくつか見ましたが、そこにはほとんど間というものがない。整然とたゆみなく、せりふが頭上で鳴りひびいているという感じです。ただせりふの速度が早いばかりでなく、それを受け渡しする心理的速度が早いのです。〉(『ハムレット新潮文庫内収載 福田恒存氏による『シェイクスピア劇の演出』)

 

つまり、シェイクスピア劇というのは次から次へと展開される名文句に酔うためのものであり、『半沢直樹』はそこが似ているなあと思った次第である。

 

だから「クラウドバックドアを仕込む?何を言ってるんだろう」とか「世間がサプライズ人事としてビックリする白井議員の国土交通大臣就任や帝国航空債権放棄策を事前に大和田氏だけが知っていて、“火中の栗“となるのを察知して自らは距離を置き、半沢に押し付けた、というのは無理がないか」とか「大銀行の役員室って、あんなに簡単に盗み聞きできる構造なのか」とかはどうでもいいことで、視聴者は次から次へとテンポよく繰り出されるちょっと大げさなセリフ回しにただひたすらに酔えばよいのである。よう知らんけど。

 

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