「プリングルスって、こんなに小さかったっけ?」
久しぶりに巡りあったプリングルスを前に、ぼくは戸惑った。記憶の中にある彼の姿は、もっと大きく頼もしかったはずだ。
まるで彼の母国、アメリカのように。
しばし考えて気がついた。
プリングルスが小さくなったんじゃない。ぼくが大きくなったのだ。
子どものころ遊んだ小学校の校庭はあんなに広かったのに、大人になって母校を訪れると思った以上に小さくて驚くことがある。子どもの頃には、自分の身の回りはとてつもなく広く大きく見える。
子どもの頃見ていたアニメでも、サッカーグラウンドは地平線の彼方まで広がり、高々と宙に舞った主人公は、サッカーボールとともに1週間宙に浮いていた。
プリングルスが小さくなったんじゃない、ぼくが大きくなったんだ。知らないうちに。 そう思ったらなんだか誇らしくて、思わず胸を張って顔を上げた。
そこには真夏の真っ青な空が、あの頃と同じように静かに広がっていた。
-完-