今日のネタ帳

悪ふざけの話中心です。笑っていただければ幸いです。

大村上春樹夫『ハルキな親娘』より

〈「完璧な教師は存在しない」ぼくは言った。「完璧な生徒が存在しないようにね。」
「だから」ぼくは続けた。「君は学校に行きたくないかもしれないし、行きたくなくもないかもしれない。だけど学校には行ったほうがいいかもしれないし、行かないほうがいいかもしれない」

 

「アルデンテ」彼女が言った。
「え?」
「アルデンテ。ちょうどよい茹で加減」
「よくわからないな」
「あなたはーあなたっていうのは、パパのことだけど」彼女はこちらを向いた。
「あなたは何かっていうと『やれやれ』と言ってすぐにスパゲッティを茹で始める。硬過ぎず柔らか過ぎず、一本芯が通ったちょうどいい硬さ」
彼女が言った。
「そんなアルデンテのつもりで説教してる。ネ・ス・パ?」

 

「ぼくは」
口が乾いた。
「君の父親だ。遺伝学的にも、社会的にも。」
やれやれ。

生きていると、時には苦手な役を演じなければならない。例えば、立派な父親とか。
「父親に向かって、『あなたは』なんて呼びかけるのは、感心しないな」

 

「その説教は」彼女ー我が娘のことだーは言った。「長くなるの?」
「長過ぎず、短過ぎず」ぼくは言った。「理想的なスパゲッティのようにね」
「でもベタついて、こんがらがっている」彼女は言った。「理想的な説教は存在しない」彼女は窓の外を見つめた。「理想的なスパゲッティが存在しないようにね」〉
村上春樹夫著『ハルキな親娘』より(嘘)

 

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