今日のネタ帳

悪ふざけの話中心です。笑っていただければ幸いです。

ハルキな診察室。

「ええと…」
ぼくは診察室で医者の顔を見た。
「つまりですね。肺のこの部分に」
神経質そうなその医者はモニターを指差した。
「ちょっとした影がある。そして」
医者はちらりとこちらを見た。
 
「その影は悪いものかもしれないし、悪いものではないかもしれない。わかりやすく言うと」
彼は小さくため息をついた。
「悪いものの中にもすごく悪いものとそれほど悪くないものがあります。さらに言うと悪いものの中のすごく悪いものの中にはそれほど悪くないものもある。そして悪くないものの中にもふとした拍子に悪くなるものもある。だから何というか」
少し間があく。
「どのみち」
彼は続けた。
「完璧な検査というものはないんです。完璧な絶望がないようにね。おわかりいただけたでしょうか」
よくわからないな。ぼくはそう思いながらこう言った。
「よくわかりました。ありがとうドクター。良い一日を」
 
今ごろ北極では氷山が割れているだろう。割れた氷山は海に漂っていく。その氷山に取り残された1頭の白熊のことを思う。ぼくは白熊だ。
 
その若い神経質そうな医者はほっとした表情でこう言った。
「あなたも、良い一日を」
 
やれやれ。
ぼくらはスパゲティを茹でた。