先般、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が国会で成立した。
ネットのニュースによれば、カジノ業者やディーラー養成学校がこの法律の成立を受けていろめきたっているという。
国内に本格的なカジノができれば今こそ活躍のとき、というわけである。
そもそもカジノ法に関しては異論も多い。
しつこいが確認しておくと、日本国内にカジノを解禁しようという話の少なくとも当初は、産業のない過疎地の振興策であるという位置づけだったはずだ。
アメリカのネイティブアメリカン、いわゆるインディアン居留地などでカジノを解禁して雇用を作り出せたことなどを例に、北海道の過疎地などにカジノを誘致して地元の雇用を生む、というのが大もとの話だったように思われる。
それがいつの間にかお台場に作るだとか外国人観光客を呼ぶだとか話の筋が変わっていって、なし崩しに法案が成立した、という印象を持っている。過疎地振興はいつどの時点で消えたのだろうか。
さはさりながら(業界用語)、一度成立したものはおそらく高い確率で実現に至る。
日本のどこかしらにカジノはできるのであろうし、それに関連する産業が盛んになるのだろう。
しかし日本でカジノが実現するからカジノディーラーの養成学校に行きディーラーを目指す、というのは安直過ぎはしないだろうか。
いつの世も思い出すべきなのは、「ゴールドラッシュのときに儲かったのは金を掘りに行った者たちではなく、その人たちにスコップを売った者だ」という言葉だ。
なるほどカジノディーラーは金を掘る者よりもスコップを売る側に近い。
だがそれを言えば、カジノディーラー養成学校の経営者のほうがよりスコップ売り側にいる。
商売ごとというのは川上から川下までおさえた者が勝つ。川上から川下まで全ておさえることが出来なければ、できるだけ川上のほうをおさえたほうが勝つ。
端的に言えばガソリンなんかはその典型で、ガソリンスタンドで働くよりもガソリンスタンド経営者のほうが儲かるし(昨今は大変なようだが)、ガソリンスタンド経営者よりもガソリンスタンドにガソリンを売る国内石油会社のほうが儲かる。国内石油会社よりも川上といえば昔で言うセブンシスターズ、国際石油資本のほうが儲かる。究極の川上といえば産油国であり、産油国であるサウジアラビアの王族にでもなれば莫大な富が手に入る。問題はサウジアラビアの王族にもぐりこむ方法が公開されていないことだが。
話が横道にそれた。
カジノ法が成立したからといってカジノディーラーを目指すというのはぬるい、という話であった。
人の行く 裏に道あり 花の山。
誰もが考えつくところに儲けはない。誰も手をつけないところこそ利益を生む宝の山があるのだ。
というわけで、これから日本にできるカジノで一山あてるために、急ピッチで整備が進むであろうところの利権をおさえることとする。全国各地にできるはずのオケラ街道で一山あてるため、今日からモツ煮込みの仕込みを始めることにしたい。