今日のネタ帳

悪ふざけの話中心です。笑っていただければ幸いです。

称えよ、高橋陽一~ワールドカップ観戦を終えて。

「みんなで夢を語ろう!」とか言われると引くタイプである。

もしかしたらそれは、若い時分に落合信彦の本を読んでしまったことで、「20歳過ぎたら夢を語るな、プランを語れ。太った豚になるな、飢えたオオカミでいろ。ちょっとモサドの友人に電話してくる」というメンタリティ(ノビー・オーチ用語)が刷り込まれたせいかもしれない。

 

しかし先日のワールドカップを見ていて、その認識を新たにした。

ぼくはサッカー少年でも青年でもなかったので、以下間違いがあったらご指摘いただきたい。

ワールドカップをテレビで見ていて、一言でいえば、高橋陽一氏の夢を見る力が世界を変えた、と思った。

 

高橋陽一氏といえば漫画『キャプテン翼』の作者だ。

ぼくが子どものころ、日本がワールドカップに出るなんて夢のまた夢みたいな時代に『キャプテン翼』がジャンプでやっていた。

子どもたちが夢中でそれ読んでサッカーやって大きくなり、その中の何人かは(いや、何十人か何百人かは)プロサッカー選手となった。

Jリーグ開幕で三浦カズが風船の中から出てきたのがたしか1993年で、ああだこうだ言われながら25年経った。

その昔、日本がワールドカップに出るなんて漫画だけだよ、と言われていた数十年後に、日本の代表チームが堂々と世界第3位のサッカー強国と戦ったのだ。

たくさんの選手とたくさんのスタッフ、たくさんのサポーターの力が結集して、決勝リーグに行っても誰も驚かない時代になった。

でも、たぶんその中の何割かは、高橋陽一氏が1980年代に「ボールは友達」と言って「キャプテン翼」を描いたからこそ起こった出来事なのだろう。

だからやっぱり、誰かが夢や理想を語るってのは大事だよな、と思う。

今の日本社会では、悪しき冷笑主義というか、熱く語る人を小馬鹿にするような風潮があるのは悲しいことだ。

冷やかされても茶化されても、真面目に夢や理想を語る。

はじめは誰も真剣に取り合わないが、そのうちにその夢や理想に共感し共鳴するものがぽつりぽつりと現れる。そうしているうちに1が2になり2が3になり、いつしか10となり100となり1000となって、社会に大きな波を起こしていく。

いわゆる社会の変革というのは、そのように起こっていくのではないだろうか。

振り返ってみればそこには必ず波の起点となった熱い個人がいる。

サッカーのワールドカップを見るたびにそんなことを思う。

いつか高橋陽一氏に国民栄誉賞が贈られると、ぼくは割と本気で信じている。