「学内カップル率ってのがあってさ」
電車の中で男子大学生2人が話している。
「同じ大学内でカップルができる率なんだけど、学内カップル率100%のA大学と学内カップル率10%の大学B、どっちに行きたい?」
「そりゃ大学Aでしょ、おれでも彼女出来そう」
「残念でした。この場合、学内カップル率ってのは女子学生からみたって条件がつくのね。大学Aでは男女の比率が10対1で、女子が少ないから女子からみたらすぐカップルが成立する。大学Bは逆に男女比率が1対10で女子はあぶれちゃうから学内カップル率は低い」
「なるほど」
盗み聞きしながら考えた。
そうだよなあ、データはきちんと条件とかみないと騙されるよなあ。
学内カップル率が「在学期間中に学内カップルになる率」という定義だとすると、在学期間中にパートナーをとっかえひっかえする人がいれば一人で学内カップル率を引き上げることもある。迷惑な話だ。
また、カップル間で認識のズレがあった場合はどう補正するのか。「え、オレたち付き合ってたんじゃないの?!」的な。
げに難しきはデータの解析と人情の機微である。
しかしまてよ、カップル率というのは本来なら男女のカップルに限らないわけで、男子学生のみの大学で学内カップル率が高いという魔夜峰央的萩尾望都的展開もあるし、その場合はどうなるのだろうかなどと考えているうちに目的駅に着いたのだった。