ニュースサイトNewsPicksが「さよなら、おっさん社会」という広告をでかでかと出して話題になりました。正直言って、好意的にみる意見より批判的にみる意見のほうが多かったように思われます。
NewsPicksの「さよなら、おっさん社会」という広告、私にはとても古臭い感じがいたしました。
この「さよなら、おっさん社会」広告のどこがオールドファッションかっていうと4つあります。
すなわち
⒈人を外見で判断するルッキズムに基づいている
2.人を年齢で判断するエイジズムに基づいている
3.人をwe我々とthem奴らに分断する分断主義に基づいている
4.それらの自分の中の偏見と予断に無自覚で、自分だけは他人と違うという上から目線
要するに、「さよなら、おっさん社会」と言っている当の本人がすでに「おっさんくさい」わけです。
おっさんは「かわいい」「かわいくない」というルッキズム評価を振り回します。
おっさんは「若い」「もうおばさん」「じじい」などというエイジズム評価を振りかざします。
おっさんは「わが社」「わが業界」「わが国」とかって分断主義を押し付けます。
おっさんはそうした自分の中の偏見と予断に無自覚で、常に上から目線です。
だれかを年齢と見た目で「おっさん」とレッテル貼りして、「さよなら」と自分との関係を切り離すという手法がもうすでに「おっさん」そのものなわけです。
ついでに申し上げますと、おっさんは他人が汗水たらして書いた記事に、肩書きを武器にえらそうに論評だけして悦に入ります。
「おっさん」の権化に得意げに「さよなら、おっさん社会」とエバられるこの痛さは、若者とカラオケに行って「エグザイルの曲っていいよね」と振り付けで上司に歌われたときの居心地の悪さを髣髴とさせます。上司が芋洗坂係長なら別ですけれども。
よくも悪くも今の世論の担い手の多くはネット文化の洗礼を受けてきております。
ネット文化はもともと匿名文化で、肩書・性別・年齢・職業よりもその人の話の面白さ・深さを重んじる文化(だった)から、ネット文化を通ってきた人にはNewsPicksの広告は違和感があるんじゃないかと。
LGBTのムーブメントをみてもわかるように、性や外見や年齢などの、自分でどうにかならない要素にとらわれず、その人の本質や才能や能力を互いの付き合いの主軸に据えようよ、地位とかにこだわらずフラットに意見を述べあおうよ、いうのが近年の流れですから、そこのところと逆行した広告だったわけです。
NewsPicks様におかれましては米国でも展開されるとのこと、彼の国はルッキズムとエイジズムには表向きことさら厳しいですから、そこのところ十分にご留意なされて、更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
山本山一郎 拝
おっさん暦1年 ニューヨークへ向かう機内にて(嘘)